ろむのろぐ録

ある寧日の書き止め

”日常" のお買い上げ、ありがとうございます!

 

 

悔やまれる。

今朝、1200円で私は文字通り、”日常”を買ったのだ。

 

これは事実に基づいた客観的事実、むしろただの事実、ノンフィクションである。

今朝の寝床から出たばかりの私に告ぐ。上着のポケットを確認しろ—。

 

さようなら英世

 

端的に申し上げると、「最寄り駅についた時点で通勤定期を忘れたことに気付き、切符を買って通勤しました」ということ。なんだ、その程度の話か。というのはまぁ分かる。

しかし転職を経験して多少の金銭感覚を見直した私にとっては、2022年1発目のやらかし認定待ったなしの大事件なのだ。認定します(´・ω・`)

 

一度も定期を忘れたことがないわけではない。

今までは駅までの道中で気付いては引き返し、何度も切符現金払いを回避してきた。

だというのに、ここにきてまさかやるとは思わなかった…。忘れたことに気付いたときは、マスクの下でひどく渋い顔をしていたことだろう。

 

失ったもの、得たもの

 

さぁ、忘れてしまったものは仕方がない。問題はこの後どうするか。

 <プランA>切符を購入し、通常通りの出勤に見せかける

 <プランB>家まで定期を取りに行き、始業時刻に若干遅れる

 

ショックで波風立ちまくりの動揺した心で考えるには、一見難しそうなこの問い。

多少の逡巡はあったものの、日本生まれ日本育ち、規律・信用を重んじる文化に浸って生きてきた中の人は、既定路線ながらも渋々プランBを選択したのであった。

 

いつも通りの時間に、いつも通りの座席に座って始業時刻を迎える。私にとっては本来費用の発生しない(会社負担で費用は実質的には発生するが、個人負担ではないので便宜上発生なしとする。)リターンのないもののため。他者からすれば、生活の背景のほんの一部に過ぎない「日常」をいつも通り迎えるために1200円とさよならしたのだ。

 

得たものは「虚無感」だったと思う。

あとは遅刻による社内評価低下の危機を脱したことくらいか。

 

普段より丁寧に車窓を眺める私の頭の中では、1200円で叶えられたあんな欲望やこんな欲望への未練が着々と積みあがっていくのだった。

 

スタバ飲みたかったな…無印良品でちょっといい飲み物かえただろうな…アイスの爆買いもできたな…。オンラインゲームの課金もできたな…。

 

私は大切な英世を失った。

 

頭を使わないルーティーンは駄目

 

10年近く電車の時間に追われる通学・通勤をやっていると、朝の過ごし方はルーティーンとなり効率化されていく。体が勝手に動くので、寝ぼけた頭でも準備は進められるのだ。

 

今回はそれが裏目にでた。

春めいてきたのでいつもより薄い上着を着ていく、というのばかり頭に残り「上着ポケットに入れたままの定期のチェックも忘れずに」と少し考えれば気付く点もすっぽり抜け落ちて家を出たのだった。

いつもと同じ作業でも、多少考える姿勢を持つのは大事なのかもしれない。

 

朝の時点では強かった後悔も、仕事を終える頃にはマイルドに緩和されていたので妙な気分だったが、時間の記憶風化作用の影響力の強さに感心しながら帰路についたのだった。

 

 

長くなったが今日はここまで。

皆さんも英気を失わないように、通勤定期の在処はよくご確認ください。